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監督にとっての春季キャンプ――ペナント制する上で必要な「セカンド・チーム」の構築【横尾弘一の野球のミカタ】

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落合監督時代のキャンプの考え方

 今年も2月1日、プロ野球12球団の春季キャンプが一斉にスタートする。
 選手たちはリーグ優勝から日本一、また自身が満足できる数字を残すことを目指し、まずは開幕に向けてコンディションを整えていく。

 一方、ファンやメディアは新外国人、ルーキー、移籍選手といった新たな戦力に注目しながら、今季のペナントレースの展開を占う。日を追うごとに暖かくなり、ワクワク感も高まっていく中、監督たちはどんな時間を過ごすのだろう。

 2004年から8年間、中日を率いた落合博満GMは、「キャンプをイメージ通りに終えることができれば、監督の仕事は8割方終わったも同然」と公言し、優勝するための青写真を描くことに腐心した。

「新監督が『全員に競争してもらう』などと言うことがあるでしょう。でも、腹の中では先発、中継ぎ、抑え、野手のスタメンはほぼ決めているはず。そして、キャンプで若干の修正をするだけだと思う」

 そうした青写真には「ここまでやってくれれば」という期待値は決して織り込まず、あくまでマイナス思考で「前年の80%くらいで見積もる」のがポイントなのだという。
 さらに、すべての選手がペナントレースで期待通りに働くことは難しいし、故障やケガに見舞われることもある。だからこそ、あらゆるアクシデントを想定した危機管理として、セカンド・チームをイメージしておくことが重要なのだ。

 セカンド・チームとは、その名の通り“二番手によるチーム”だ。例えば、山田哲人(ヤクルト)のような若いレギュラーがいるポジションなら、山田の欠場というダメージを少しでも軽減するために経験豊富なベテランをスタンバイさせる。

 反対に、福留孝介(阪神)のように抜群の安定感を備えたベテランのポジションなら、その穴を埋めるというよりはチャンスとして台頭する可能性を秘めた若手。そうやって守備位置や攻撃面での役割を考慮しながら、監督はセカンド・チームのメンバーを吟味する。それをするかどうか、あるいはその見極めが正しかったか否かが、不測の事態が次々と起こるであろうペナントレースの行方を左右すると言っていい。

【次ページ】選手起用の難しさ

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